パノラマ写真の作り方
パノラマ写真はiPhoneでも手軽に撮影できるようになりました。たしかにiPhoneでも手軽にできますが、センサーサイズを考えるとやはりスマホではなく普通のカメラで巨大な写真がほしいなと思わないでもないです。思うこともありますよね。
パノラマに使用したカメラ
今回はHasselblad X1D II 50C と専用レンズXCD45P を使いました。X1D II 50Cは中判ミラーレスカメラです。解像度は8272x6200なので大体50Mピクセル。rawファイルでのファイルサイズは1枚100Mバイト程度という、途方もなく燃費のわるそうな車みたいな印象のカメラです。撮影できる写真はスマホでは到底再現できないディテールを持ったものです。
自分のアトリエは鵠沼海岸という場所のそばにあります。左を見れば江ノ島、右を見れば富士山という感じですが、江ノ島から富士山までのパノラマを作成することにします。
パノラマ撮影時のコツ
パノラマ写真は左右に写真をつないでいくので、各カットが上下にブレないようにするのと、継ぎ目の部分が少し重なるように撮影するのがコツです。海などの目標物が乏しい場合は雲などを目標にすると良いと思います。理想はやはり三脚の使用です。多分三脚には目盛りがついていると思うので、均等に少し重なって撮影される角度を割り出して、繰り返し撮影していくイメージです。
今回は手すりの上にカメラをおいて上下のブレがないように気をつけながら、左から右へ1枚ずつ撮影していきました。
撮影結果をBridgeで開いたのが上のキャプチャ画面です。
アングルがのりしろ部分を考慮した感じになっているのに注目してください。
どんなカメラでもRawで撮影することをオススメします。JPGではせっかくのディテールをファイルサイズの圧縮で失ってしまっています。こういった写真に特殊な処理を行いたい場合はできるだけ画像内に情報があったほうが良好な結果を得ることができます。
Camera Rawでパノラマ写真を作成する
1. 上のキャプチャ画像のように撮影した写真を表示してつなぎたい写真を選択します。選択した状態で選択ファイルの上で右クリックしてCamera Rawで開くを選択します。
2. 開いたCamera Rawですべての写真を選択します。選択した写真の上で右クリックしてパノラに結合…を選択します。
パノラマ結合の設定画面が表示されます。写真が正しく認識されない場合は設定画面の右上にアラートが表示されます。下のキャプチャ画面では4枚の写真が正しくパノラマできるというように認識されました。
投影法で歪みの修正方法を選択します。本来複数の写真をつなぎ合わせると継ぎ目の辻褄を合わせるためにできあがったパノラマ写真は四角にはなりません。
このように合わせた辻褄のゆがみが外側に反映された状態になります。この問題を解消するために境界線ワープと自動切り抜きがあります。
自動切り抜きのチェックを外して、境界線ワープのスライダーを右へスライドしていくと、各写真をワープ変形してきれいな四角に近づいていきます。
自動切り抜きにチェックをいれると、4辺が直線になるようにパノラマ写真がトリミングされます。
3. 結合ボタンをクリックするとパノラマ写真が生成され、オリジナル写真がある場所にDNGファイルフォーマットで保存されます。
Photoshopでパノラマ写真を作成する
1. ファイルメニュー>自動処理>Photomerge…を選択します。
mergeとは英語で合流とか結合と言った意味を持つ単語です。
なぜこのメニューだけ英語のままなのか理由はわかりませんが、この機能をつかうとCamera Rawと同じように驚愕の精度で写真が結合されていきます。
レイアウトがCamera Rawでいうところの投影法です。Photomergeのほうが結果を想像しやすいですね。
ソースはファイルかフォルダを選択することが可能です。参照ボタンをクリックしてファイルかフォルダを選びます。参照ファイルを選択するとファイルのリストが表示されます。
歪曲収差の補正はできる限り1枚の大きな写真として成立するようにする際に生じる歪みの修正をするかしないかの設定です。onにするとこう書くレンズで撮影したようなレンズ的には自然な歪みが見て取れます。また水平線も自然につながっています。offにした際の水平線は継ぎ目に向かって湾曲しています。
生成されたファイルのサイズ:25245 x 6466
生成されたファイルのサイズ:25376 x 6531
参照ファイルを指定したあとにOKをクリックすると新たにファイルが生成されます。各ファイルが1レイヤーとしてレイヤーマスクつきで積み重なっていきます。よく見ると非常に複雑なマスクで合成されているのがわかります。
どっちで作るかパノラマ写真
このようにCamera RawでもPhotoshopでも作成できるパノラマ写真。果たしてどちらの機能が便利でしょうか?Camera Rawで出来上がる写真はdngファイルなのでレイヤーは存在せずすべてがベイクされた状態になり、反面PhotoshopのPhotomergeではそれぞれの元の写真が異なったレイヤーとしてパノラマが作成されます。
Camera Rawのほうがよりインスタントにパノラマを作ることができる印象です。緻密なレタッチ作業などを続けておこないたい場合はPhotoshopのPhotomergeのほうが適しているかもしれません。